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2月11日(土)の稽古です。 [台本選定]

2月最初の4時間稽古です。

昨日に続いて「袴垂はどこだ」(堀田善之 作)を読みました。

とても面白い作品です。義賊である袴垂(はかまだれ)を捜す農民たちの物語です。ただ捜すだけでなく袴垂のマネをすることで、ホンモノの注意を惹いていつか配下にしてもらおうとするのですが……。残念。ここから後はネタばれになるので書けません。

袴垂というのは『宇治拾遺物語』などの説話に出てくる盗賊の名前です。

『宇治拾遺物語』には藤原保昌(ふじわらのやすまさ)とのエピソードがあります。

冬の衣類を必要とした袴垂が適当な相手を待ち伏せしていると、笛を吹きながら保昌がやって来ます。何度袴垂が挑発しても保昌は悠然と歩いています。とうとう袴垂は保昌の屋敷まで着いて行き、衣類を恵んでもらうという話です。袴垂は説話の中でも「いみじき盗人の大将軍」と大物盗賊として紹介されていますけど、ここでやっていることはただの追い剥ぎです。主役はあくまで保昌で、その大物ぶりが誇張されています。

ちなみに藤原保昌というのは、かの有名な藤原道長の家司だった人で、武勇で名高い人です。歌人として知られる和泉式部と道長の紹介で結婚しました。道長四天王の一人と称せられる豪傑です。

「袴垂はどこだ」はそもそも平安時代の話ではないので、説話で語られる袴垂と脚本の袴垂はあきらかに別人です。袴垂という伝説の盗賊の名を借りたものでしょう。

それにしても今日の本読みでも、みんな農民のセリフに苦労していました。この作品を上演するとしたら、農民のしぶとさやエネルギーをセリフに込めることができるかが勝負のような気がします。

後半は劇団のオリジナル作品「カリホルニアホテル」の夏バージョンを読みました。昨年観ていただいた「クロスロード~運命をつなぐ四つ辻~」の作者高平九の作品です。

こちらも2週間前に途中まで読んでいましたが、たまたま脚本の冊数がそろわず読みさしでした。

「カリホルニアホテル」は房総にある小さなホテルが舞台です。春バージョンと続編の夏バージョンがすでに書かれています。もちろん作者としては春バージョンからの上演を希望しているのですが、団員には夏バージョンが好評なので、作者に春と夏の合体はできないかと無茶ぶりをしているところです。

この作品は「クロスロード」と異なり、バリバリの喜劇です。観客を泣かせるより、笑わせるほうが難しいとよく言われます。ひとつひとつの笑いを積み上げて大きな笑いを作り上げることができるか、それが課題となるでしょう。

最後にボランティア用の作品である「地獄見物」(水谷章三 作)を読みました。夜組の配役です。

来週の日曜日は2月最後の4時間練習です。ここで本公演の作品を決めることになっています。どの作品になるかお楽しみに。

↓ 「松のきずあと」





いつも稽古をしている四街道公民館の裏手にあります。戦争末期に軍部が航空燃料にする松谷ヤニを採った跡だそうです。同名の絵本もあります。
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