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原作の重み [天国までの百マイル]

本公演で『天国までの百マイル』を上演することが決定しました。

八木柊一郎先生の脚本は何度も読みましたが、浅田次郎先生の書かれた原作はずいぶん前に単行本で読んで以来読んでいませんでした。本格的な稽古に入る前にもう一度原作を読もうと思って本を探したのですが見つかりません。引っ越しの際に紛失したか、あるいは人に貸したか、とにかく見つからなかったので至急アマゾンで注文し、早速読んでみました。

主人公の城所安男は四十歳。2年前に会社を潰し自己破産しています。妻とも離婚し兄弟たちにも疫病神のように忌み嫌われています。その安男が心臓病の母きぬ江を千葉の病院に運ぶ。それがこの小説のあらすじです。

浅田作品に登場する人々はとても魅力的です。それは浅田先生が人間の行動の表層だけでなく、深いところを見据えて表現なさっているかだと思います。根が深いからこそ多くの人間の心の深くにも共鳴するのではないでしょうか。

小説では詳細に描写されている人物とその心情を、芝居では役者が演じなければなりません。配役はまだ決まっていませんが、どこまでオリジナルの人物に近づけるかがこの上演の鍵になるかと思います。責任の重さが身が引き締まる思いです。

↓ 『天国までの百マイル』の原作です。


天国までの百マイル (朝日文庫)

天国までの百マイル (朝日文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2000/10/01
  • メディア: 文庫



↓ 浅田ワールドの原点と言ってもいいでしょう。映画も話題になりました。初期短編集です。


鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2000/03/17
  • メディア: 文庫



↓ とにかく登場人物がみんな格好いい。一番のオススメです。シリーズ最新作にはチャプリンも登場。


天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)

天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/06/20
  • メディア: 文庫



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本公演演目決定! [台本選定]

今年12月1日(日)の
第30回本公演(劇団創設三十周年企画第一弾)の
演目が決定しました。

『天国までの百マイル』
作・浅田次郎 脚本・八木柊一郎

演出は長野克弘先生にお願いすることになりました。
長野先生には一昨年『人情喜劇 カリホルニアホテル』の演出もお願いしました。
今回は三十周年記念作品ということで、ぜひ演出は長野先生にお願いしたいということになりました。
快く受けていただきありがとうございました。

『天国までの百マイル』はこれまでも映画化、ドラマ化、舞台化されている名作です。
10年来念願だったこの作品を上演できることになり、劇団員一同わくわくしてます。

脚本は文化座さんが上演なさった時のものをお借りすることになりました。文化座さんは脚本の使用を許可してくださっただけでなく、八木先生、浅田先生の上演許可をいただく際にも助けていただきました。感謝しております。

八木先生はすでに鬼籍に入っておられますので、息子さんに許可をいただきました。とてもいい方で子快く上演を許可してくださいました。ありがとうございました。

浅田先生の上演許可は出版元の朝日文庫の担当者の方にお願いしました。こちらも何も分からないアマチュア劇団に丁寧にアドバイスをくださり、無事に許可をいただくことができました。感謝申し上げます。ということで、多くの皆さんの御助力によって上演を許可していただきました。作品の主人公である城所安男が多くの人に支えられて母親を病院に運ぶように、上演もまた劇団だけの力で出来るものではありません。あらためて多くの人の理解と協力によって活動が出来るのだと実感しております。
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やぎはらサロン公演3/19 [ボランティア活動]

3/19
やぎはらサロンにお邪魔しました。今月2回目ですが、お客様は前回とは別の皆さんです。

前回と同じ『白雨四人男女?』(高平 九)

を上演しました。キャストは同じです。

20190319yagi.jpg

やはりよく笑っていただき、キャストにも声をかけていただきました。役者も楽しく演じることが
出来たそうです。

上演後はそのままみんなで、発声練習、「五十音の歌」「お祭り」そして春の歌の合唱をやりました。

とても楽しい春の一日になりました。

やきはらサロンの皆さんありがとうございました。
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やぎはらサロン公演3/12 [ボランティア活動]

3月12日(火)
やぎはらサロンでボランティア公演をしました。
会場は四街道の八木原小学校。お客様は地域の御老人たちです。

演目は『白雨四人男女?』(高平九)
先月千葉県文化芸術フォーラムで評判のよかった作品からキャストを1人減らして上演しました。
前説で「遠慮なくキャストに声を掛けてください」とお願いするはずでしたが、うっかり忘れてしまいました。でも、この日のお客様はとてもノリがよくてよく笑いよく声を掛けてくださいました。ありがとうございました。

お芝居の後は「五十音の歌」(北原白秋/あめんぼ赤いなあいうえお……)で声を出してから、やはり白秋の「お祭り」を4つのパートに分かれて読みました。これも皆さんよく声が出ていて盛り上がりました。

最後はみんなで春の歌を歌いました。楽しい時間をありがとうございました。

19日(火)にもう一回公演があります。よろしくお願いします。
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本公演上演作品選定について [台本選定]

さて、もう3月です。

劇団では12月1日(日)の本公演上演作品の選定作業が大詰めに入っています。
現在のところ候補作品を一本に絞り、著作権者のお二人に上演許可をお願いしているところです。具体的な作品名については許可が下りるまでお待ちください。

ここで上演許可について少し書きます。

オリジナル作品は別にして既成の作品を上演する場合には必ず上演許可を取らなければなりません。もちろんこれは作者の権利を守るためです。
かつては教育機関は著作権の聖域のように扱われていました。今でも授業で使う場合には資料として著作物のコピーが認められています。ですが演劇部の公演や文化祭のクラス発表などで使用する脚本については上演許可を取らなければなりません。高校の演劇部などでは上演許可証の提出をしないと大会に参加できないようです。

私どものようなアマチュア劇団が公演をする場合にも上演許可を取ります。(うちの劇団では何となく代表の仕事になっています)中には出版社が仲介をしてくれる場合もありますが、かつてオリジナルを上演した劇団に台本を分けていただいたり、著作権者との仲介を頼むこともあります。今回の場合は原作者と脚本家両方の許可が必要でしたので、原作者は出版社に脚本家は劇団に仲介をそれぞれお願いしました。

驚くのはほとんどの劇団がとても親切なことです。仲介の労をとっても利益になるわけではありません。演劇を愛する者同士の連帯感とでもいうのでしょうか。本当にありがたいことです。もしも有名な劇団が上演した作品だからと諦めている方がいらしたら、思い切ってお願いしてみることをお勧めします。代表いわく「熱意と誠意が大切」だそうです。

無料公演の場合の使用料は一回ごと5000円というのが普通です。ただ、これはあくまで著作権者の考え方次第なので、人によっては無料にしてくれる場合もありますし、逆に数万円の使用料を要求されることもあります。

有料公演については、細かな基準を設けているところもあれば、「お気持ち次第で」という鷹揚な作者もいます。代表が言うには「交渉は可能」だそうです。いずれにても向こう様次第。折り合いがつかなければ上演を諦めるしかありません。

「上演許可は当然もらえるもの」と考えがちですが、この先入観は危険です。実際、うちの劇団でも苦い経験をしたばかりです。既成作品の上演が決まったら、何より先に上演許可を取りましょう。
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