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10月23日(金)の稽古です。 [稽古内容]

10月23日(金)の稽古です。

この日は手話通訳をしている若い男性が見学に来てくれました。

まずは第7回ワークショップです。

第7回ワークショップ

 首、肩のストレッチの後、胸と骨盤を動かしてみました。
 胸を前後、斜め前と後ろ、そして左右に動かしてから、それらを組み合わせて回します。このとき肩や腰がなるべく動かないように注意します。
 手は容易に動くので、あまり手だけの動きに頼るとどうしても嘘っぽい動きになります。でも、そのときに体幹(胸)を一緒に動かしてやると気持ちが入った動きのように見えます。例えばパントマイムで「壁」を演じるとき、手だけで押すのではなく胸で押すとさらに頑丈な壁に見えてきます。
 次に骨盤を動かします。前後、左右に動かした後で回します。骨盤も「ロープ」などのパントマイムで使われますが、骨盤の前傾や後傾を使ってキャラクターを作ることもできます。例えば威張って歩く人は骨盤を後傾させます。また兵士の礼やハイヒールを履いた女性を演じるときには前傾を使うことができます。骨盤の位置に癖がある人は多いので、自分で最もニュートラルな骨盤の位置を知っておくことも大切です。
 また、最近は骨盤底にも筋肉があって、上の横隔膜とこの骨盤底の筋肉が連動して呼吸を支えていると言われます。正しい位置に骨盤がないと深い呼吸ができないようです。

 パントマイムレッスン

 復習として「コップ」を持ち上げて飲むマイム。ドアを開けて入るマイムを練習しました。
 その後、西田先生にいただいた資料のマイムエチュードをやりました。

 女性には次の課題をやってもらいました。

 これからデートにでかける。支度をする。何を着て行こうかアレコレ迷う。いろいろ着てみる。出かけて行く。財布を忘れて取りに戻る。……待てよ。日を間違えたらしい。明日だった……。

 動作から気持ち(心情)がはっきり見えることがポイントです。何をどう表現したらよいでしょう。少し細かく見てみましょう。

「これからデートにでかける」
 デートに行くという状況と気分をどのように表現したらよいでしょう。
「支度をする」
 デートに行くということを入念な化粧や髪型を気にするという、つまり「支度」で表現する人が多かったです。マスクをしていて表情が見えませんから、身体全体で昂揚したウキウキした気分を表さなければなりません。鏡に向かって微笑んで見せたり、何度もやり直したり、デートに行く女性がどう行動するかを考えてみましょう。
「何を着て行こうかアレコレ迷う」
 クローゼットから洋服を選んで一着ずつ鏡に自分を映して見ると迷っている感じが出ますね。できれば鏡は正面(観客側)にあった方がいいです。
 こういうエチュードをやると舞台上でどう動けば観客から見やすいか、効果的に見せることができるかを瞬時に判断する力をつきます。インプロでなくても常に客観的に自分を見ることが大切だと思います。
「いろいろ着てみる」
 着た服の処理をちゃんとしていますか。団員の中には着た服はいつも床に脱ぎっぱなしという人もいましたけど、それならそれではっきり脱いで放ります。日常無意識にやっていることほど、舞台上では意識してやらないと演技になりません。
 ベッドとかイスに掛けてもいいし、クローゼットに戻してもいい。大切なのは処理をきちんとすることです。特にマイムの場合は持っている物が消えてしまうことがよくあります(笑) 
 これはどうかしら? 駄目だわ。これは? これも駄目……。女性はデートの相手に少しでも高く評価されたいのか、あるいはその日の気分に合った服を着たいだけなのか分かりませんけど、とにかく服選びは真剣ですよね。この動きをしっかりやるとデートに向かう女性の熱量がはっきりと観客に伝わります。
 よし、これにしようという決断もきちんと表現します。
「出かけて行く」
 女性の場合はバッグを持ちますよね。さすがにこれを忘れる人はいませんでしたが、4人中2人が靴を履かずに外に出ました。服に合わせて靴も選びましょう。本当ならバッグもアクセサリーも悩んで欲しかったですね。洋服が決まればそれほど時間はかけなくていいですけど、こういう細かいところに表現力の差がでます。香水なども重要なアイテムです。
 ドアを出ましょう。鍵をかけます。鍵はどこから出してどこに入れましょうか。どういうバッグを持っているかによっても違いますよね。デートに行く時にどんなバッグを選ぶかも考えください。
 歩き出します。マイムウォークを使いたいところですけど、できなければその場で足踏みでもいいでしょう。デートに行く女性の気取った感じ、昂揚した感じの歩き方を工夫しましょう。
 余談ですが、マリリン・モンローは『ナイアガラ』という映画で、魅力的な歩き方をするためにヒールの左右の高さを変えたそうです。そうやって生まれたのが「モンロー・ウォーク」。マイムで出来たらいいですねえ。
「財布を忘れて取りに戻る」
 まず気づきです。財布を忘れたという気づきをきちんと表現しましょう。何かきっかけがあってもいいですね。暑くてハンカチを取り出そうとした時に気づいたとか、電車に乗るのにスイカを取り出そうとして気づいたとか。気づいたらバッグの中を隈無く探してください。気取っているほど、ここでの慌てブリが生きます。そして、部屋を出て来たよりも早く慌てて戻ります。鍵も急いで開けようとします。バッグの中から鍵がなかなか出て来なかったりするとリアルですよね。鍵穴にもうまく入らないとか。
「待てよ。日を間違えたらしい。明日だった……」
 これも気づきです。どうやって気付くのかが難しいですね。玄関にあるカレンダーを二度見するとか、やはり何か手がかりがあると分かりやすいですね。    
最後に「明日だった……」の後の気持ちをしっかり作りましょう。拍子抜けしたのか、がっかりしたのか。どこかほっとしたのか。ここまで来ると自然に感情があふれるはずです。

 エチュードの発表まであまり時間をとりません。動きながら考える必要があります。役者は台詞だけ言っていればいい訳ではありません。ワークショップですでにやったように相手の台詞を感じることが大切です。そして他の役者たちがどんな風に動いているのかをしっかり見ることも必要です。さらに、この日のレッスンでは自分の動きを客観的に細かく観察する訓練になります。
世阿弥は、能役者の家に生まれた子供には、形などよりも舞台に上がったら汗をかくことをまず教えろと言っています。舞台上で楽をしないこと。常に神経を研ぎ澄まして相手を感じ、自分を見ることが役者の心得として必要なのではないでしょうか。

男性の課題も紹介しておきましょう。

 いくら待っても彼女は来ない。もう30分待った。携帯電話を取り出し、まわりに気兼ねしながらキイを押すと留守電受けになっている。めんどうくさいから伝言を入れずに切る。よし帰ろう。店のドアを開けようとする。やっと来た。

 こちらは喫茶店でデートの相手を待っています。30分という時間を表現するのが難しいのですが、私はコーヒーを一杯飲み干す動作で表現してみました。コップで水を飲む、コーヒーを飲むという基本のマイムが使えるエチュードです。
 少し前のエチュードなので喫茶店で電話をしていますが、今だったらスマホでLINEに書き込めば済むことです。でも、できればこのまま演じてください。与えられた芝居が現代とは限らないからです。役者はどんな時代にも対応できなければいけません。
 男性の気持ちの変化をどういう行動で表現するのか考えてみてください。特に最後の「やっと来た」は呆れているのか、怒っているのか、嬉しいのか。はっきりと表現しましょう。

残りの時間は『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』の稽古をしました。一応、流れはできたので、あとは台詞を入れてもらって繰り返し通すだけです。来年5月上演を目標にしていますが、もっと早くに1度上演してみたいものです。

見学の方は手話をやっていらっしゃるだけあって、手の動きがとても綺麗でした。エチュードにも参加してもらいましたけど、堂々と演じていました。前にも書きましたが外部の方が来てくださるととてもいい刺激になります。もっと見学者来てくれないかなあ。 
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