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9月25日(金)の稽古です。 [稽古内容]

9月25日(金)の稽古内容です。

基礎練習の3回目です。
前回やった「声の五要素レッスン」の応用もかねて「スラッシュレッスン」をやりました。これも鴻上尚史氏の『表現力のレッスン』からお借りしました。

テキストとして長い台詞が2本用意されています。どちらも同じ内容ですが男性口調と女性口調になっています。

台詞はモノローグになっているので、まずは語り手の「与えられた状況」を考えます。
①「俺(私)」はどんな人物なのか?
②時代はいつで、どういう時間なのか?
③場所はどこか?
④何をしているのか?
これらを団員への質問形式で明らかにしていきます。

次に感情やイメージが変化したところに「/(スラッシュ)」を書き込みます。本来のレッスンでは立って歩いたり座ったりしてやるのですが、場所も時間も限られているので座ったまま書き込んでもらいました。

順番に自分が書き込んだスラッシュのところまで読んで、次の人に続きを読んでもらいました。スラッシュまでが長い人もいれば短い人もいます。人によって違っていいと思います。

最後に数人に全文を読んでもらいました。「声の五要素」によってスラッシュごとに変化をつけて読んでくださいとお願いしました。人によってはあまり変化がない人もいました。自分では変化をつけているつもりでも聞いている人には伝わらないのです。別の人はスラッシュごとにしっかり変化が感じられました。後で聞くと自分では不自然なほど変化をつけたつもりだと言っていました。自分では不自然に感じるくらいでちょうどいいということを皆で確認できました。ある人は五要素を駆使してオーバーに演じてくれました。もちろん、そのまま本番に使うことは少ないと思いますが、エキセントリックな人物を演じるときにはそれくらいやってみても面白いです。とにかく稽古の段階では臆病にならず思い切り変化をつけてやってみると何かしら発見があると思います。

余談ですが、6年前に『ブンナよ、木からおりてこい』という芝居をやりました。私は凶暴なモズの役だったのですが、どうやったら相手役(スズメ)を怖がらせることができるか悩んでいました。たまたまプロの役者さんにお会いする機会があったので質問してみました。
「台詞をライオンのような猛獣で読んでみるといいですよ。はじめは完全なライオンの咆哮でやってみて、だんだん人間の言葉にしていくと野性的な感じだけが残ります」
役者さんのこの助言をヒントにモズの声を作ってみました。実際に野性的な声になっていたかはお客様に聞いてみないと分かりませんが、自分でもそういう声を出せるんだという発見がありました。自分の中から新たな表現を引きだすためには、気持ちだけではなくそれなりの工夫がいることに気付かせてもらいました。

次回は「ういろう売り」をテキストに「声の五要素」の実験をしてみたいと思います。ちなみにほとんどの劇団員は「ういろう売り」を暗記しています。私も入団してから暗記したのですが、完全に言えるようになるまで3ヶ月かかりました。40代でした。「ういろう売り」そのものを芝居でやることはありませんけど、これを覚えることで滑舌の不安が少なくなりました。それにどんな長い台詞でも必ず覚えられるという自信にもなりました。
その後、10代の子がたった3週間で暗記したのを知って愕然としました。毎日、聞いて覚えたそうです。暗記は何でも若いうちですね(笑)

↓ 鴻上尚史『表現力のレッスン』(講談社)


表現力のレッスン

表現力のレッスン

  • 作者: 鴻上 尚史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/10/21
  • メディア: 新書



↓ 『ブンナよ、木からおりてこい』(水上勉原作・小松幹生脚色)こ、こんなに高くなってた!


ブンナよ、木からおりてこい 新版

ブンナよ、木からおりてこい 新版

  • 作者: 水上 勉
  • 出版社/メーカー: 新水社
  • 発売日: 1980/05/15
  • メディア: 単行本



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9月20日(日)の稽古です。 [稽古内容]

9月20日(日)の稽古です。

17時から19時の2時間稽古でした。

基本練習の2回目。少し西田先生の指導内容を離れて、金曜日に触れた「声の五要素」のレッスンをやりました。

テキストは鴻上尚史氏の『表権力のレッスン』(講談社)の『声の五要素レッスン』をお借りしました。

このレッスンは、短い台詞(3センテンスほど)を声の五つの要素にこだわって読むレッスンです。
「声の五要素」とは、

①大きさ
②高さ
③速さ
④間
⑤声色

の5種類。

レッスン① 大きさ

一人ずつ順番に「大きな声で読む」「小さな声で読む」「ウイスパーで読む」を繰り返しました。もちろん公民館では大声を出す活動は禁止されているので、ほどほどの声しか出せません。もっとも難しいのは小さな声で読むことでした。歌でも小さな声で歌う練習があると小林さんから説明がありました。大きな声を出すのと同じように身体を使いながら音量だけを下げるのはかなりエネルギーを使うようです。「ウイスパー」は「whisper」(ささやき声)のことです。芝居の中でもよく使いますけど、ささやくように台詞を言いながら、音量はお客さんに届くように言う。これも慣れないと難しいことです。
劇場の舞台は限られた広さしかありませんから、2人が遠く離れているという芝居は大きな声で表現します。逆に舞台上では離れたところにいてもささやくように言うことで、2人の距離が近いことを表現できます。舞台を自由に使うためには声を操ることが必要です。

レッスン② 高さ

これも一人ずつ交互に「高い声」「低い声」で台詞を読みました。普段芝居では使わない高さの声を使うことで発見があります。私たちは日常の様々な状況で色々な高さの声を使っています。ところが、お芝居になると自分で気持ちのいい声しか使わない傾向があります。稽古の中で色々な声を使っておくと、お芝居の中でも生きてくると思います。

レッスン③ 速さ

2種類の読み方をします。1つは「子音が溶けないように注意して息継ぎなしで台詞を3回繰り返す」、もう1つは「できるだけゆっくり息継ぎなしに台詞を言う」です。
これも交互にやりましたが、息継ぎなしで3回はさすがに苦しくて1人しかできる人がいませんでした。ゆっくりの方も自分で速さをコントロールしないと最後まで言い切れません。

レッスン④ 間

絶対に間をとらないところに間を入れて読みます。不思議な感じでした。変わった話し方をするエキセントリックなキャラクターを演じるときに役に立つかなと思いました。

レッスン⑤ 声色

アニメのキャラクターや個性的な役者さんなどの話し方をマネしてみました。鼻声、色っぽい声、かすれ声などを意識して使ってみます。

自分も含めて役者というのは怠け者だと思います。もちろん自分では一生懸命やっているつもりなんですけど、それはあくまで精神的なことであって、技術的な工夫とか役を掘り下げる努力はあまりしていないように思います。いや、やってはいますけど自分のやりたいことしかやっていない。優れた演出家はそれを見抜いて役者を鍛えてくれます。しかし、もしも役者自身が自分のやりたくない稽古、つまり新しい自分を探すような稽古に取り組めば、意識の高い役者になれるのではないか。今回の基礎練習は西田先生がいつもおっしゃっていた「劇列車としての役者としてのステップアップをしてほしい」というお言葉を受けて、少しでも役者として成長するためのものにできればいいと思っています。

続けて同じく鴻上氏の「スラッシュレッスン」の資料を配付し説明をしましたが、実際のレッスンは時間の関係で次回にまわすことにしました。

後半は『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』の半立ち稽古をしました。小林さんの提案で場所を和室から洋間に変更することにしました。役者の都合での変更でしたが実際に動いてみると洋間の方が距離をとった芝居が不自然でないことが分かりました。和室では立ったままの芝居は不自然ですけど、洋室なら立ったままの演技もできます。そういう意味でも演技の可能性が増して演出として助かります。問題は椅子の数が足りるかどうかでした。でもなんとか足りました。それを確認して今日の稽古は終了です。

↓ 『表現力のレッスン』鴻上尚史 今回のレッスンのテキストです。演劇の基礎を学びたい方にオススメです。



表現力のレッスン

表現力のレッスン

  • 作者: 鴻上 尚史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/10/21
  • メディア: 新書



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9月18日(金)の稽古です。 [稽古内容]

西田了先生に教えていただいた基本練習を復習することにしました。

西田先生は私たちの劇団の母体となった市民講座の講師であり、30年前四街道市民が上演した『やまんば おゆき』の演出家です。その後も脚本を書いていただいたり演出をお願いしたりたいへんお世話になりました。演劇の基礎を数ヶ月かけて指導していただいたこともあります。

本公演が延期になったこともあり、これから数ヶ月の間、先生に教えていただいたことをもう一度おさらいしようということになりました。

今日はその1日目ということで、

①台詞の言葉を立てる(強調する)
②感情表現のトレーニング

について稽古をしました。

①台詞の言葉を立てる(強調する)

私たちは日常の会話の中ですべての言葉を平板に話すことはあまりありません。台詞のほとんどは誰かに向かって目的を持って発せられるものです。相手にこう動いてほしい。相手にこう感じてほしい。目的は様々ですが、自分の発言の中のどの言葉を強調すれば、目的を達成できるかを私たちは工夫して発しています。

具体的な稽古方法としては決まった台詞の一部分に傍線を引いて、その傍線の部分だけを立てて(強調して)台詞を言います。

 ねえ聞いた? 林君が酒井さんと結婚するんだって

という台詞なら、

 ねえ聞いた? 林君が酒井さんと結婚するんだって

ねえ聞いた? 林君が酒井さんと結婚するんだって

 ねえ聞いた? 林君が酒井さんと結婚するんだって

のようになります。

ところが、強調というとほとんどの人は傍線部を強く言おうとします。西田先生は「声の5要素」ということをよく言っておられました。

声には強さ、速さ、高さ、間、声色という5つの要素があります。どうしても強さばかりを使いがちですが、時には速く、あるいは遅く、時には高い声または低い声で言ってみると意外な発見があります。また、直前または直後に間をとってみるのも有効な方法です。声色というのは声の音色です。誰かの真似をしたり歌舞伎口調にしてみたり、異性の女っぽい(男っぽい)言い方をしてみたりすることです。

あくまで練習なので不自然さを怖れずにやります。私もだんだん分かってきたのですが、演技は自然にやろうとすればするほど自然とはほど遠いものになるようです。一度不自然な状態を通過しないと、自然な演技にたどりつけないような気がします。

②感情表現のトレーニング

西田先生はこの稽古を何度もくりかえし指導してくださいました。

稽古方法は単純で、台詞の上に(得意そうに)とか(大慌てで)という指定があって、それに従って台詞を言います。

(ちょっと不機嫌に)みわちゃん、おしゃべりは大概にして、支度にかかったらどう

言ってみてください。きっとそれらしく出来てしまう人が多いと思います。でも本当はみわちゃんと自分との関係やこの台詞を言っている場所や時代。あるいは、なぜちょっと不機嫌なのか。そういうことを具体的に想像せずに台詞を言っても人間の台詞にはなりません。

そこで2回目は、参加者に台詞を割り振ってそれぞれの台詞がどういう状況で発せられたか考えてもらいました。台詞を言うときにはまず状況の説明をします。

時代は戦前。私は家の女主人です。大事な来客の予定があり皆が忙しく働いて準備をしていときに、廊下の隅で一番若い女中の美和が夫と談笑しているのを見かけます。嫉妬心がわいてきますが、はっきりと出すのは沽券にかかわるので、ちょっと不機嫌に「みわちゃん、おしゃべりは大概にして、支度にかかったらどう」と注意しました。

という感じです。

台詞にもよりますが、自由に想像を膨らますことができる人もいれば、そうでない人もいます。あくまで稽古なので想像が出来なかったからといって気にすることはありません。直感的に何となく台詞を言うのではなく、状況を意識して台詞を言うための稽古です。

大概は台本の中に状況の説明も書かれていますが、それは不十分なこともあるし、もっと膨らますことができる場合もあります。ですから、舞台に生きた人間を載せるためには役者がその人物がおかれた状況を想像し把握しておく必要があるように思います。

直感で演技をすることがうまい人もいます。②のトレーニングも台詞をそれらしく言うだけなら1回目で出来る人もいます。しかし、2回目、3回目となるとどうでしょう。1回目の新鮮さや輝きは失われてつまらない言い方になっていないでしょうか。スタニスラフスキーも同じことを考えました。この1回目の輝きをどうしたら何度も繰り返すことが出来るのかというのが彼の課題だったのです。

西田先生が私たちに何度もこの訓練を課したのも、そのことに気付かせるためだったのではないかなあと、先生のあのいたずらっ子のような笑顔を思い描いてみるのですが、残念ながら真実は分かりません。

余談ですが、20年前にやまさわたけみつ先生に初めてパントマイムを指導していただいたとき、最初に先生が言われたことを私はずっと肝に銘じていました。それは「フリにならないこと」という言葉です。パントマイムはどうしても壁やロープなどのテクニックに目を奪われがちです。しかし、同じ壁を演じるにもそれぞれ異なった状況があり気持ちがある。単なるテクニックだけのしている「フリ」ではなく、その状況や気持ちを意識して演技をしなさいという意味です。

台詞も直感やテクニックだけで、何となく言えてしまうことがあります。しかし、それではいつまでも安定した本当の演技の力を身に付けることは出来ません。これからの数ヶ月、西田先生のメソッドをたどりながら、先生が伝えようとしたことを探ろうと思います。そしてコロナ前よりもましな演技者になれればいいなと思います。

長くなりました。最後に前々回読んだ10分程度の短い台本をみんなで回し読みしました。

次回は日曜日。17時~19時。場所は四街道公民館和室です。
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最近の稽古内容です。 [稽古内容]

現在の稽古の状況について書きたいと思います。

どこも同じだと思いますが、稽古場の公民館では歌、ダンス、それに大きな声を出すことも禁止されています。入館の際には検温と体温の記載、それに手の消毒をします。退館の15分前にはアナウンスが流れ使用場所の消毒もします。使用時間も2時間と制限されています。

稽古中は全員マスクかフェイスガードをし、窓や扉もすべて開放しています。窓には網状の布のようなものを付けてくれていますが、目が荒いのでいろんな虫が稽古に参加してきます。冷房もついてはいますが全く利いていません。そんな中でひたすら本の読み合わせをしています。


9月5日(土)は10分ほどの短い作品を初見で読みました。大学生の人が書い脚本なんですが、楽しい作品でした。

その後は『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』(高平 九)を読み合わせしました。なかなか金曜日の稽古に出られない人が久しぶりに稽古に参加してくれました。ほぼ本役の貴重な稽古になりました。そろそろソーシャルディスタンスを保ちながら半立ち稽古を始めたかったのですが、この日は広い部屋をとることができませんでした。狭い視聴覚室で台本の読み合わせをしました。

もともと正月に上演した作品でしたので、オリジナルは炬燵を舞台の中心に置いて芝居を作りました。ですが、今回は5月公演ということなので、思い切って8月中旬に設定を変えました。当然ですが、炬燵は卓袱台またはテーブルになります。家族の物語なので炬燵だとその周囲に密集してしまい、どうしても密な芝居になります。それを夏場の設定にして卓袱台(テーブル)にすると、多少人物の間に距離があっても炬燵ほど不自然ではないと考えました。

次の金曜日は和室なので半立ち稽古(台本を持っての立ち稽古)の予定です。
他にも林先生による身体を使った練習、西田先生から指導いただいた基本練習も予定しています。

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土日稽古の予定 [稽古予定]

座・劇列車の土日稽古日程です。

9月5日(土)13時~15時

9月20日(日)17時~19時

となりました。一応、稽古場所は四街道公民館を予定していますが、利用再開後は週ごとにしか予約できなくなりました。したがってまだ確定しておりません。
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