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『やまんば おゆき』来年12月5日(日)に上演! [やまんばおゆき]

今年延期した『やまんば おゆき』を来年12月5日(日)に上演することが決まりました。

座・劇列車 30周年記念公演
『やまんば おゆき』
原作 浜野卓也 脚本 西田 了 脚色 高平 九 演出 福山啓子・船津 基(青年劇場)
期日 令和3年12月5日(日)
会場 四街道市文化センターホール


31年目ではありますが、30周年記念公演にしたいと思います。先に『天国までの百マイル』で30周年第一弾やっておいてよかったあ(笑)

まだまだコロナの感染が拡大する中ですが、来年こそは上演したいという団員そして出演者のみんなの思いが天に届くことを祈ります。

2月3月から出演者を募集します。昨年のキャストがそのまま残ってくれることを願っておりますが、中には残念ながら都合により抜ける方もいらっしゃいます。抜けたキャストの欠員募集が中心になるかと思います。

なお、村人などエキストラ的な出演者も募集いたしますので、ぜひ一度舞台に立ってみたいという方はこの機会にいかがでしょう。数々の名作の演出を手がけていらっしゃる青年劇場の福山・船津両先生のご指導はとても丁寧でわかりやすいですよ。大きな舞台が作られていく過程も、ご自分も参加しながら間近でご覧になれます。ぜひともご参加お待ちしております。

『やまんば おゆき』は信濃と駿府の国境の山村で生きるおゆきという女性の一生を描いた物語です。村は貧しく、掟によって六十歳になると巡礼に出ることが決まっていました。巡礼といっても、実際には旅から帰って来た者はいません。老人たちは巡礼の旅先で客死するか、あるいはバチ山という藪の奥深くに捨てられるかのどちらかです。今、人類を襲っているコロナウィルスは老人を重症化させるという残酷な特徴を持っています。入院すると家族は面会すら許されません。まるで動く姥捨て山のようです。なんとかお年寄りをこの獰猛なウィルスから守りたいものですね。

公演がコロナ明けの明るく賑やかなお祭りになることを切に祈っています。

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↓ 『やまんば おゆき』の原作はこちら


やまんばおゆき (1977年) (国土社の新作童話)

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  • 出版社/メーカー: 国土社
  • 発売日: 2020/12/23
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12月18日(金)今年最後の稽古です [稽古内容]

12月18日(金)今年最後の稽古でした。

本来なら12月5日に『やまんば おゆき』の公演を終えて、まだその余韻に浸りながらお疲れ様でしたというところですが、今年はなかなか思うようになりませんでした。来年こそは5月公演、10月の公民館祭り公演、そして本公演とすべての上演ができるように祈りたいと思います。

さて、この日の稽古もダンスでスタート。公民館の窓がリニューアルされて障子がなくなりました。小さな格子のガラス戸なので、自分の姿を映しながら踊るのに最適。まるでスタジオのようです。鏡と違ってちょっとぼやけているのもいい。欠点をうまく隠してくれています(笑)

一人を除いてはみんな50代から70代。しかし、みんな元気です。何度も踊ってもみんな息切れ一つしていません。

次はワークショップ。これも今回で一区切り。

 第10回ワークショップ セリフのためのレッスン(後半)

レッスン3 声のベクトルレッスン

 このレッスンも鴻上尚史氏の「表現力のレッスン」からお借りしました。
 人に台詞を伝える。人の台詞を受け取る。これは当たり前のことのようですが、この当たり前のことが舞台に上がるとなかなかできないものです。

 日常を再現する。これは演技の理想かもしれません。しかしながら、日常自然にできていることが、舞台上では簡単ではありません。台詞や相手役との関係性も含めてすべての状況が作り物だからです。それらのすべてを本当のもののように見せるのが役者の演技の力です。

 大抵の人が相手に台詞を伝えることには熱心ですが、受け取り方が雑です。相手に共感を示す時には相手の声の高さやトーンに合わせて、特に語尾に寄り添うように台詞を始めなければなりません。逆に相手の台詞に反論する時や話題を変える時には、全く異なる高さやトーンではじめることも必要でしょう。相手役をよく見る。相手役の台詞を聴く。これは演技の基本です。
 
レッスン4 滑舌(活舌・アーティキュレーション)

 西田先生いわく「まず第一に声の魅力を増すこと。響きのある声を出し、正確に発音し話すことで感情や意志をきちんと伝えることができる。母音では『え』を曖昧にしない」

 滑舌は役者にとっては大きな課題の一つです。正確に発音してはじめて相手役にも観客の皆さんにも言葉の意味と気持ちが伝わるのです。
 
 今回は朝日新聞に掲載されている「天声人語」をテキストにしました。毎日、様々なジャンルが話題になっているので、日頃使わない言葉にも出遭うことができます。
 一人ずつゆっくりと段落ごと読みました。一つは文化的な内容、もう一つは政治的な内容でしたが、さすがにベテランの役者さんたちだけあって、どちらもとても聞きやすい声で読むことができました。

滑舌に問題のある人はたくさんいます。日常は滑舌が問題にされることはあまりありませんが、舞台ではそれなりの音量も必要としますし、滑舌があまりに悪いと役者として致命的な場合もあります。
また、役柄によって様々な職業の用語を使う場合もあります。何年か前に病院が舞台の作品を上演したとき「手術」という言葉に苦労しました。今は「オペ」という言葉も使いますから「オペでいいじゃん」と脚本家を恨めしく思ったものです。しかし、よく考えてみると「オペ」はあくまで医師や看護師の側で使う言葉であって、患者が「オペ」と言うのは違和感があります。それから何度も何度も練習してようやく自然に言えるようになりました。
 誰でも苦手な言い回しはありますから、何度も繰り返し口にして慣れるしかありません。稽古や本番前に首や肩の力を抜いて、舌や唇の運動をするのも大事なことです。私の場合は「ういろう売り」を暗記して毎日練習することでずいぶん滑舌に自信が持てるようになりました。
 
レッスン5 台詞のテクニック~言葉の五大要素

 これは前に紹介した「声の5要素」とは違います。西田先生に教えていただいた言葉における5つの要素です。
 
①句読(間)「……(3点リーダー・雨だれ)」の意味を考える。

休止符(読点)は脚本家が考えた間です。ただ、必要な場合もあれば無視して一気に言ってしまったほうがいい場合もあります。
終止符(句点)は台詞の一つの区切りですが、次の台詞との間によって、人物の心理を表現することができます。
古谷一行さんは私の好きな俳優の一人ですが、大事な場面の台詞と台詞の間を極端に詰めて言うことがあります。とても魅力的なので最近ではそれを待つようになってしまいました(笑)
 
 「……」は台本の中によく使われます。先生は「雨だれ」と呼んでいらっしゃいました。
 「……」は本来は「…」だけで3点リーダーと呼ばれる記号ですが、小説や台本では二つセットで使われます。私はこの原稿をワープロソフトの「一太郎」を使って書いていますが、最近は小説に特化したカスタマイズができて「……」「――」を縦書きセットで入力できるようになりました。これはとても便利です。
 
「……」には、考える(考えさせる)間、行動をする間、行動をうながす(待つ)間、それから言い止(さ)しの間などがあり、同じ記号であっても様々な意味があります。これをどう解釈して演じるかが役者の力量です。もちろん演出家の考えと異なる場合もあります。その時は演出家が指示したようにやるのが役者の仕事です。
 言い止しの場合は、その後に省略された台詞があります。台詞を言う人は必ずその台詞を想定しておきます。相手役がこちらの台詞を切るパターンでは、相手の台詞が遅れたら想定した台詞を言うつもりで発語します。自分で勝手に台詞を止めてしまってはいけません。切る側は力強く気持ちでばっさりと切るように台詞を言います。
 言い止しのもう一つのパターンは「頓挫法」です。ギリシア語には「アポリア」という言葉があって、途方に暮れ迷った人物が一歩も先に進めない状態を言います。
 シェイクスピアの『ハムレット』の有名な台詞。「To be, or not to be」は「……」こそ使われていませんが「アポリア」の代表だそうです。ハムレットは復讐をするべきだと分かっていながら、その覚悟がなかなかできない。
 日本で言うと芥川龍之介の『羅生門』の下人ですね。奉公先から暇を出された下人は途方に暮れて羅生門の下で雨やみを待っています。雨が止んだとて何の当てもありません。明日の暮らしをどうにかするためには、手段を選んでいるいとまはない。手段を選ばないとすれば……。下人の思考はここで止まります。その先の盗人になるよりほかはないという結論が見えているのに積極的に肯定する勇気が出ない。
 これらの「アポリア」をどう打開していくかが物語の主軸になります。
 
②力点(強調) 台詞の中で相手に分かってもらいたい部分を強調する。

 前半のレッスンでやりました。相手役と観客の心を揺さぶるために、ここを伝えたいという部分を強調します。
 私たちは日常の会話のなかで相手のすべての言葉を注意深く聞いているわけではありません。大体の言葉は右から左に流れてしまいます。しかし、肝心な言葉、心にとどまる言葉というものもあります。もちろん聴く方が引っかかる言葉であることもあります。しかし伝える側が言葉を立てて引っかかるように促すこともできます。

③抑揚(調子) 

 以前「声の5要素」レッスンでやりました。声の大小・高低・強弱・緩急・声色を駆使して心のあり方を表現します。
 どんなにいい声でも一本調子で語られたら飽きてしまいます。抑揚をつけることによって観客を引きつけます。
 
④音調(声色) 

 「悲しい台詞、楽しい台詞を意味から考えること。悲しそうではだめ。気持ちを入れるように」と先生はおっしゃいました。
 
⑤音律(リズム)

 「歌は語るように、台詞は歌うように」という言葉があります。ただ、普通のお芝居のなかで台詞を歌ってしまうと、内容が伝わらなかったり、リアリティに欠けたりという弊害もあります。「そこは歌わないで」と演出家が言う場合はそれです。
 余談ですが、マルセル・マルソーのパントマイム教室の最後に、マルソー先生はこうおっしゃいました。
「演技の間は常に心のなかに音楽が流れているようにしなさい。自然にリズミカルで美しい演技になります」
 独白などで、BGMがある時は曲に台詞をはめ込んでみるのもいいでしょう。私が初めて劇列車で演じた役は『ゴジラ』のレポーターでした。大島噴火の顛末とゴジラの出現を語るのですが、演出からBGMのこの部分ではこの台詞と細かく決めるように指示されました。曲の盛り上がりと台詞の盛り上がりを重ねてみると、実に気持ちよくしかも効果的に台詞を言えることに気づきました。
 
 西田先生いわく「正確に台詞を言うことも大切ですが、実感(こころ)を込めた台詞にすることも重要です。また、観客が好感を持ついい響きの声で表現できるといい。これらができると観客が自然と芝居の中に入ってきます(共感作用)」

 先生はよく「実感」という言葉を使いました。「実感」のこもった台詞は感覚だけでは言えません。
芝居に慣れてくると何となくで芝居ができてしまうようになります。そうではなくて、しっかりと台詞を意味を理解し、状況を想定して、なぜ楽しいのか、なぜ悲しいのかをつかんでこそ「実感」のある台詞を言えるようになります。
  
レッスン6 台詞の分析

①まずは台詞を読んで言葉の意味を理解する。
②次に台詞に込められた心理作用(心の動き・意志・考え・気持ち)を読み取る。
③心理作用からどのような生理作用(身体作用)が起こるか考える。
④さらにイメージをふくらませて、年齢、性格、季節、生活環境、時代などを把握する。

 西田先生いわく「虚構の世界を現実世界として生きるのが役者の役割である。そのためには台詞について①~④の手順をくりかえし、自分の役に現実感をもたせる「材料」とすること」

 ①「言葉の意味を理解する」のは当たり前のことのようですが、実際には意味を知らずに、あるいは間違った意味で理解して台詞を言っていることがあります。思い込みは禁物。少しでも怪しいと思ったら必ず辞書を引くようにします。
 ③の「生理作用(身体作用)」の研究が足りないと、その場の感覚だけで不自然な動きをしてしまいがちです。自分だったらこうするは意外に危険で、クセであることも多いので、日頃から多くの人を観察して、この役の人物ならこんな動きをするだろうと想像してみます。

 先生いわく「フィーリングだけで芝居をする人が多い。そういう演技は稽古のくりかえしの中でマンネリ化しやすい。逆に台詞を分析し『材料』を少しずつ積み上げて役作りのプランを練っていく方法だと、役を稽古の中で進化させることができ飽きることがない。
 また、いわく「またフィーリングだけの芝居では、演出家に『違う』と言われた時にどこが違ったのか考え直すことが難しい。しかし、『材料』を元にしていれば、どの『材料』が違っていたのかを検証しやすい」

 ④の「イメージをふくらます」ことについて先生は「性格は生活環境によって決まることが多い。つまり育った環境などで明るい暗いなどの大まかな性格が決まることがある。また、私達がこの現代の生活環境について何となく把握できているように、その時代の人もまたその時代の生活環境についてよく知っている。したがって、他の時代の人を演じる場合にはその時代の社会についての知識が必要になる」とおっしゃっていました。

 以上、西田先生のレッスン内容に私なりの解釈を加えて十回のワークショップを行いました。
 西田了先生は私が入団してからも、演出をするたびにワークショップを開いてくださいました。
「皆さんはすでにそれぞれが魅力的な役者ですが、さらにもう一段上の役者を目指すために不足していることを補いたいと思います」
 先生はワークショップのたびに、このように言ったくださいました。 先生は遠くに行ってしまわれましたが、私たちの心の中にはいつまでも先生はいらっしゃいます。今回、コロナによって公演が延期になったことはとても残念ですが、その替わりこうやって先生の教えてくださったことをなぞることができました。先生はもっともっとたくさんのことを教えてくださいました。むしろここから先が肝心なところなのかもしれません。でも、それはまた次の機会にしたいと思います。
 次回の「やまんば おゆき」は三十年前に西田先生が指導してくださり、座・劇列車を作るきっかけともなった作品です。先生の薫陶を受けた者として恥ずかしくない舞台を作って、天におられる先生にも観ていただこうと思います。
 ワークショップの内容をお読みになってくださった皆さんお付き合いいただきありがとうございました。伝わりにくい部分など多々あったかと思います。それらはすべて私(高平)の責任です。また、今回引用させていただいた鴻上尚史氏の『表現力のレッスン』『発声の身体のレッスン』は演劇初心者の方には最適なテキストだと思います。これを機会にぜひ読んでみてください。

最後の40分で『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』を稽古しました。

今年最後なのでなるべく止めずに通してみました。通して見てみるとなかなか面白い作品になってきました。団員それぞれの魅力も少しずつ出てきたように思います。

来年は1月8日(金)から稽古です。なるべく台本を外して稽古してほしいと伝えました。舞台美術の案も提案されました。小道具類もそれぞれ準備してもらって、本格的な稽古に入りたいと思います。

今年もブログを読んでいただきありがとうございました。いつも文字ばかりで読みにくい内容でごめんなさい。

年末年始、コロナはもちろん風邪などもお引きになりませんよう。皆様のご無事を祈っております。また来年もよろしくお願いいたします。
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オタンコナス! [その他]

前回のワークショップで「感情表現トレーニング」というレッスンをやりました。

私の担当は、

(不機嫌に)
(男)おい、いつまで黙ってるんだ! オタンコナス!」
(女)ねえ、いつまで黙ってるのよ! ガンコなんだから!

元々のレッスンは括弧内の感情を込めて台詞を言うだけです。今回はそのレッスンに加えて、台詞を言うときの状況をそれぞれ想像して発表してみようという課題を出しました。

私はコンビニで万引きをして捕まった妻を引き取りに行く夫という状況を設定しました。コンビニの事務室で黙ったまま反省した様子もない妻に向かって発する台詞です。

ところが言いながら何か違和感がありました。台詞を聞いていた団員からも「オタンコナス」という言葉の意味について質問がありました。私は違和感の原因がこの「オタンコナス」という言葉だと思い、家に帰ってから確認しました。調べてくれた女性の団員がなぜか意味を発表することに躊躇していたのも気になりました。

「おたんこなす」の元の形は「おたんちん」で、吉原遊廓の遊女達が使っていた符丁だそうです。好きな客の場合には「ねこ」と言い、好かない客は「おたんちん」。

ネコという動物は一日中寝ているから「寝子」と呼ばれたという説がありますが、遊女もまた「寝る」のが仕事なので遊女を表す言葉でもありました。そういう遊女たちが進んで寝たいと思う客だから、好きな客を「ねこ」と呼ぶのでしょうか。

一方「おたんちん」は「御短チン」という意味です。説明は必要ありませんね。「おたんこなす」は「チン」をその形状から「小茄子」に喩えたのだそうです。

ということで、「おたんこなす」はもともと女性が男性に向かって言う言葉なんですね。

今では「おたんちん」も「おたんこなす」も間抜けな相手をののしる言葉として性別に関係なく使われる語ですが、やはり女性が男性に言った方がしっくりきます。これが私の違和感の正体だったのかもしれません。

意味的にはまちがっていなくても、語源などの影響でなんとなく使い方が制限される言葉ってあると思います。

たとえば「つるむ」という言葉。江戸時代にはすでに「連れ立つ」という意味で使われていましたが、
もともとは「交尾」を意味する言葉です。今でも若い女性などが使うとちょっと違和感があります。

趣味とはいえ脚本や小説を書いている私としては、このような語源や語感にも敏感にならなければならないとあらためて感じるできごとでした。


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12月11日(金)の稽古です [稽古内容]

12月11日(金)の稽古です。

 稽古場の四街道公民館に前に立つと自動で測れる体温計が入りました。画面の枠に自分の顔をはめる位置に立つと自動で体温を測定してくれます。これまでは係の人がハンディタイプの体温計で測ってくれていたのですが、歩きや自転車で来ると顔が冷えているのか測定不能でした。首筋で何度か測定しても34度とか、あり得ない数値が出ます。寒くなるにしたがって測定不能の回数も増えていました。
 アルコール消毒も足で踏むタイプになり、どんどん設備はよくなりますけど、そんな設備がなくても利用できるように早くなってほしいものです。

 今回も冒頭にダンスをしました。私として時間もないし1回で済ませようと思ったのですが、皆さん踊り足りないということでもう1回やりました。マスクをして踊るのは苦しいけれど、やはり身体を動かすのは楽しいですね。

 第10回ワークショップ セリフのためのレッスン(前半)

1 台詞とは何か

 西田先生は次のように説明してくださいました。

◎思考、感情、意志の伝達(表現)の手段

 ①正確に発声する。→正確に音を出す。正確に口を開ける。
 ②音量のコントロール →相手の音の高さに合わせて話す。
 ③共鳴音 →からだを開いて口を大きく開ける。遠くまで声を響かせる。

 ①は主に滑舌(アーティキュレーション)の問題です。これまでは触れて来ませんでした。後半で少し触れます。
 ②もあまり触れて来ませんでした。自分だけの独善的な芝居にならないためにも、相手の台詞をよく聞くことが重要です。いかに相手に台詞を渡すか、いかに相手の台詞を受け取るか、これがスムーズに出来てはじめて、相手の台詞を否定する芝居もできるのだと思います。これも後半で少し触れます。
 ③これについては前回丁寧にやったつもりです。単に大きな声ではなく、よく響く声を出すにはどうするか、ということです。
 
2 台詞のレッスン 

レッスン1 ことば~言葉を立てる(→資料20「ことば」)

例 合田が上田と結婚するんだって(下線なし) 
合田が上田と結婚するんだって(「合田」に下線)
合田が上田と結婚するんだって(「上田」に下線)
合田が上田と結婚するんだって(「結婚」に下線)
合田が上田と結婚するんだって(「結婚するんだって」に下線)

①台詞の下線部を「強調」して(立てて)言います。
②ただ機械的に「強調」するのではなく、なぜそこを「強調」しているのか、4W(いつ・どこで・だれが・なにを)を設定して台詞を言ってみます。

 ワークショップの最初にやったレッスンです。このレッスンは何度やってもいいと思っています。西田先生も繰り返しやってくださいました。
 ①について
 何も説明さずにやると大抵の人は下線部を語気を強めたり大きい声で言います。もちろんそのやり方もありますが、前にやった「声の5要素」を使うと、わざと語気を弱めたり、ささやき声(ウイスパー)で言ったり、間を取ったり詰めたり、ゆっくり言ったり早口で言ったり、または声色を使ったりと色々な強調方法があります。それらを駆使して試してみることも表現の幅を広げるためには必要です。
 ②について
 置かれた状況と発話者の意図・心情によってどこをどう強調するかが決まってきます。強調部から逆に状況や意図を想像するのも大事な練習だと思います。ただし今回は省略しました。

レッスン2 感情表現トレーニング~状況をイメージする
              (→資料8「感情表現トレーニングⅡ」)

 例 (思い直して)(男)ほんとうに怒るぜ! でも、まあいいや……お互いさまだから……。
     (女)ほんとうに怒るわよ! でも、まあいいわ ……お互いさまだから……。

①( )内の感情を台詞にのせて台詞を言ってみる。
②どういう状況で言われた台詞なのか4Wを設定して言ってみる。

これも2度目になります。何度でもしつこく繰り返したいと思います。
 ①について
 役者が性別で二種類の台詞が用意されています。「感情表現トレーニングⅠ」はもう少し単純な感情だったと思いますが、Ⅱの法は(案外軽く)(急に鋭く)(思い出すように)など「これ感情?」というような難しい指定が並んでいます。例の場合は「でも」から「思い直」すのだと思いますけど、形だけだとなかなか難しい。自分ではやっているつもりでも聞いている人にうまく伝わりません。
 ②ついて
 そこで誰が誰に対して(「だれが」)どういうこと(「なにを」)を怒っていて、なぜ思い直したかを想像してみます。レッスン1では省略しましたが、ここではそれぞれの台詞の担当者を決めて、時間をとって状況を想像してから発表してもらいました。
 この台詞については妻が夫の浮気を怒っているのだそうです。何度も同じことを繰り返している夫に対して「ほんとうに怒るわよ!」と言いながら、「お互いさまだから」と自分も浮気していることを匂わせて夫を不安にさせようとしているんだそうです。面白いですね。妻の方が一枚上手。そう考えると「ほんとうに」という大袈裟な言い方にも作為が感じられますね。ここから広げていくと一篇の脚本や小説ができそうです。
 本来は台本にはこういった状況はある程度説明されていて、役者はそれを読み取って台詞を言います。しかし、状況はともかく人物の心情や意図のほとんどは自分で推量するか演出家の指示に従うかしかありません。もちろん最終的には演出家の指示の通りに演じるのが役者の仕事ではありますが、どういう状況からどんな意図を持ってどんな心情で演じているのかを自覚して演じるのとそうでないのとでは雲泥の差があると思います。自立した役者、創造的な演技者になるためには必要なレッスンだと思います。
 それにしても、担当者の想像のほとんどが浮気をしている夫という設定なのには驚きました。男と女の普遍的なテーマなのでしょうね。

 次回は今年最後の稽古です。第10回の後半をやります。

 稽古後半は『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』の稽古をやりました。

 この公演は5月8日(土)に四街道公民館ホールで上演することになりました。ただし、会場の都合で変更になるかもしれません。コロナの中で何か1つやろうという意地のような公演です。よろしければ観てやってください。

 この本は映画『俺たちは天使じゃない』を下敷きにしています。有名な『カサブランカ』のマイケル・カーチス監督の映画です。主演も同じハンフリー・ボガート。ロバート・デ・ニーロ主演でリメイクされているので、そちらを御存知の方も多いようです。脚本自体は映画の一部を借りているだけですけど、映画を御存知の方はぜひ観たいと言ってくださいます。よろしければ映画もご覧ください。
 
↓ 映画『俺たちは天使じゃない』(DVD)ハンフリー・ボガート版。


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12月4日(金)の稽古です。 [稽古内容]

この日は第10回ワークショップの予定でしたが、5月公演の話し合いで時間がかかってしまったので、久しぶりにダンスをやりました。

このダンスは『カリホルニアホテル』のエンディングでみんなで踊ったものです。振付は川島とも子さんにお願いしました。私も覚えているか不安でしたが、稽古前に動画を何度か観たら思い出しました。

「久しぶりに踊りましょう」と提案したところ、乗り気の方が多かったので何度か踊りました。やっぱりダンスは楽しいですね。ストレス解消になりました。

ダンスの後は『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』の稽古をしました。

『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』公演の期日は5月9日(日)の予定です。
 ただし会場の都合で8日(土)の可能性もあります。
会場は四街道公民館のホールです。

当初予定していた会場と違うこともあり、また感染症予防のためにも演出を変える必要が出てきました。試しにやってみましたが、やはり根本的に考え直す必要がありそうです。

ダンス楽しいから来週もやろうかな。
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