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10月2日(金)の稽古です [稽古内容]

10月2日(金)の稽古です。
十六夜の月が綺麗でしたねえ。ときおり恥じらうように雲の袖で顔を覆う満月がいじらしい。軍神(火星)がそばに控えて目を光られているのも見どころでした。稽古の後の月見は格別です。

ワークショップ4回目です。
この日はまず「ハミングレッスン」をやりました。これも鴻上尚史氏の『表現力のレッスン』に掲載されている練習方法です。
声は声帯によって作られますが、そのわずかな筋肉の動きを外に伝えるためには共鳴する場所が必要です。その中でもっとも多く使われ、かつもっとも大きな場所が鼻腔です。しかし、それ以外にも共鳴させられる部分があります。レッスンは次のように進めました。

①鼻
鼻の頭に指を置いてハミングします。指に振動が伝えわれば鼻腔に共鳴していることになります。

②唇
唇に指を置いてハミングします。唇に振動が伝わりますか?
このとき鼻に指を置きかえるとそちらもかすかなに振動を感じると思います。完全に唇だけでなくても大丈夫です。でも唇を中心に振動があるように意識してみてください。
③頭
頭の上に掌を置いてハミングします。掌に振動が伝わるでしょうか。
音の高さは①②と変えてもかまいせん。あまり高い音だと振動しにくいようです。振動しない人は音程を下げるようにと本には書かれていました。
④胸
胸に掌を当ててハミングします。掌に振動が伝わりますか?
これがもっとも難しいかもしれません。
⑤喉
喉仏に指を置いてハミングします。かなりはっきりと振動が伝わると思います。
ただし、ここを使った発声は喉を痛めるそうです。気を付けましょう。

それぞれのハミングが出来るようになったら、今度は①~⑤まで共鳴場所を移しながら一息でハミング。

次は①~⑤それぞれのハミングの状態からゆっくり口を開けて「アー」の声を出してみる。それぞれの部分を共鳴させた通る声が出ていることを確認します。

最後は鼻ハミングでゆっくり口を開き、そのまま共鳴が顔全体に広がることをイメージします。鴻上氏によるとこれがニュートラルな発声だそうです。

ワークショップの後半は「ういろう売り」をテキストにしました。「ういろう売り」は市川団十郎が得意とした演目「歌舞伎十八番」の一つで、小田原に実在した万能丸薬「ういろう(外郎)」を外売りするときの口上が元になっています。古くから新劇の劇団の稽古に使われていたようですが、私たちの劇団でも西田先生の薦めもあって使っています。
成井豊氏のブログを読んでいたら劇団「キャラメルボックス」の稽古でも使っていると書かれていました。ただし通常8分くらいで読むところを3分で読むそうです。かなりのスピードですね。さすが「キャラメルボックス」です。
今回は初めての団員もいたので、読みの確認もかねて最初は全員で声をそろえてゆっくりと読みました。西田先生からいただいたテキストには息継ぎの場所も指定されていてとても便利です。声と呼吸を揃えて読みことができます。

次に息継ぎの区切りごとに共鳴の場所を変えて交代で読んでみました。

私は風呂で湯船につかりながら、必ず「ういろう売り」をやります。その際に「声の五要素」や「五つの共鳴」を使って変化をつけることもあります。楽しいですよ。

私たちの恩師である西田了先生は役者に必要なものは「一声二振り三姿」とよくおっしゃっていました。でも、役者に必要な声がいわゆる一般的な「いい声」だとしたら、もともと「いい声」を持っている人にはかないません。つまり、先生のおっしゃる「いい声」というのは「役者に必要ないい声」、さらに言い換えると「状況や感情の変化によって自由自在にコントロールできる声」となるのではないでしょうか。
「私は日常そんな変な声は絶対に使いません」という人がいるかもしれません。でも、実は友達と盛り上がってるときや酔っ払ったときなどにはその「変な声」を自然に使っているかもしれません。上品な女性がいきなり変な声を出すとそれだけで魅力的だったり印象的だったりするものです。それにお芝居では色々な人物を演じる必要があります。さらに自分が経験したことのない状況にその人物が置かれていることもあります。そういうときに使ったことがない声を出すことも必要なのが役者なのです。
 
蜷川幸雄氏があるインタビュー番組で「なぜ役者に厳しく指導するのですか?」と尋ねられたとき「日常生活では神に話しかけることなどまずありません。役者に厳しく迫らないとそういう非日常の声は引き出せないのです」と答えていらっしゃいました。

自分が日常使ったことがない声を出してみる。日常使っていても自分では気付かない声を出してみる。この稽古によって役者それぞれの声の可能性を広げることができるといいですね。

この日の稽古の後半は、『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』の稽古をしました。久しぶりでキャストがほぼ揃っての稽古になりました。新人のヒロシ君が稽古風景をスマホで撮影してグループLINEに載せてくれました。若い人はこういうことを簡単にやってくれるのでありがたいです。

稽古が盛り上がり過ぎて大声を出してしまいました。10月からは活動時間や演目の制限が緩和されましたが、逆にフェイスシールドの着用が求められています。この日も注意を受けたので来週からはマスク、フェイスシールド着用での稽古になる予定です。

↓ テキストとして使わせていただいています。鴻上尚史氏の『表現のレッスン』です。


表現力のレッスン

表現力のレッスン

  • 作者: 鴻上 尚史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/10/21
  • メディア: 新書



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